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こんにちは。
Abebyの専門看護師ちーさんです。
周りにフットケア ができる方が少なくて、ひとりで悩んでいませんか?
中には、同僚にフットケアしている人はいても「気軽には聞きにくい」と感じている方もいるかもしれません。
専門看護師であり、群馬大学臨床教授という称号をいただいているちーさんが皆さんの悩みを解決できるように開催しているサロンの活動を紹介します。
これをお読みいただくことで、『仲間』がいることで成長できる自分を感じていただけます。
自分の看護の「軸」
どんなものですか?
立ち止まり看護の意味を考え深堀りすることで、看護師としてのやりがい、充実感、愉しさに気づくことでしょう。
ぜひ最後までお読みいただきたいと思います。
◉このページの目次◉
1. 笑顔が集まるフットケア仲間のオンラインサロン(通称「わらあしサロン
」)って?
2. 看護をリフレクションする
2.1.リフレクションすることの意味
2.1.1リフレクションて何だ?
2.1.2看護をリフレクションするとどんなことが期待できる?
2.1.3看護をリフレクションするということ
3.実際にリフレクションしてみました
3.1.事例の一部を紹介
3.2.事例を通してご本人の気づき
3.3.この事例を通して仲間からのフィードバック
4.まとめ
写真掲載に関しましてそれぞれのご了承をいただいています
1. 笑顔が集まるフットケア仲間のオンラインサロン(通称「わらあし」)って?
フットケア って医療業界においてマイナー領域です。
なので、周囲は否定もしないけど・・・
一人で細々と頑張っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
もしかすると「忙しいのに」と強い風当たりの中、フットケア実施を断念せざるをえない方も少なくないかもしれません。また、これでいいのか不安を感じたご経験もあるのではないでしょうか?
なんてもったいないのでしょう⁉︎
マイナー領域ではありますがQOLや歩行、転倒、健康寿命に影響する老若男女重要要素です。
皆さんのようにフットケアの重要性を感じ頑張ってる方・これから頑張っていきたいと思っている方の存在は宝物!!!
非力ですが何かお役に立てることがないかとオンラインサロン「笑足salon」を立ち上げました。
フットケアしてるみんなと情報交換したい
ちょっとした相談できる場が欲しい
フットケアが好き・フットケアを上達したい
フットケアを始めたいけど何からしていったらいいかわからない
スキルアップしたい
と思っている方向けです。
テーマは都度異なります。
例えば、これまでの一部をご紹介すると。
アセスメントや技術などのポイントについて確認したり、保湿や洗浄といった基本や今回のようなリフレクションなど。
フットケアは実技に意識が向きがちですので、ご自身の看護、仲間の看護を皆で考え意味づけていくこともおこなってます。文章だと難しく感じるかもしれませんね。都度、実際を紹介しますので参考にしていただけたらと思います。
テーマはできるだけご要望にお応えしつつ、皆様の「力」を引き出せるよう1回/月での開催(2021年10月現在)を企画しています。
さらに、常時LINEオープンチャットで交流できる環境を整えてあります。こちらには私ちーさんも参加してますので耳寄り情報などの提供や質問などもお受けしています。
最近では、非常事態宣言が解除されましたのでリアルでのオフ会も話題に上がっていて楽しみが増えました〜
看護の教育課程に関わらず医学系のほとんどでフットケアについては学んできていません。しかし、非常に重要なケアです。笑足での私たちの学びを、ブログを通じてシェアさせていただくことで皆様の看護に活かしていただけらた幸いです。
*念のため補足しておくと、ここで言うフットケアは「健康・生」「生活の質」を維持&向上を目的としたお手入れや教育的支援です。ここでは「美」を求めたサービスとは異なります。
看護をリフレクションする
リフレクションすることの意味
リフレクションて何だ?
『その人の信念の根拠を評価すること』1)
『状況との対話をしながら、実践かが行動について意図的な選択を行い判断するために、経験を注意深く根気強く熟考するものであり、自己との対話を通して自分自身や自分の行為に意味づけをするプロセスである』2)
『実践を記述・描写・分析・評価するために、また、実践からの学習の情報を得るために、実践の経験を振り返り吟味するプロセスである』3)
など様々な研究者によって定義されています。
ですが・・・
はて???
ちょっとちょっと、ちーさん ようは何⁉︎
そんな声が聞こえてきそうです
簡単にわたしなりに一言で表現すると・・・
「あの時の自分の行動は正しかったのか」「その実践にどんな意味があるのか」というように、振り返ること。自分の経験を客観視することで、新たな気づきと成長を目指す思考のプロセスです。といったところでしょうか?
リフレクションは、英語の「reflection」が語源。
リフレクションは、歴史的に見ると、「デューイの実践的認識論」と「ショーンの2つのスタイルのリフレクション」を元にしています。
デューイは経験からの学びを「①試行錯誤的なもの」「②リフレクティブなもの」の二種類に分け、後者のほうをより重視しました。
そしてデューイの理論をショーンが発展させ、現在の「リフレクション」につながっています。
このようにリフレクションは、重要な概念です。
「じゃあ反省と何が違うの???」
そう思った方!
すばらしい疑問です!
よく混同され易いですが、
反省≠リフレクション(内省)です。
リフレクションは「内省」と訳されます。
「反省」は、
同じ過ち、失敗を繰り返さないようにすること。
例えば、Aさんへの検査説明後「わかりにくい」とご指摘されたとします。反省とは、うまく説明できなかったこと振り返って次回からは改善することです。
一方、「リフレクション(内省)」は
自分の考え方・価値観を客観視します。
先の例でいうと、Aさんの反応を振り返り、表情や発言、などを振り返りAさんにとってどんな意味をもたらしていたのか。そして自分がどう捉えていたのか、どう解釈する必要があったのか考える思考プロセスです。
看護をリフレクションするとどんなことが期待できる?4)
リフレクションによって得られるものを紹介します。
1)学習ニーズを明確にしていく 2)人としての成長につながる 3)専門家としての成長につながる 4)習慣的な行為から脱却する 5)自分自身の行動の結果に気づく 6)観察に基づく判断から理論を構築していくことができる 7)不確実性の多い事柄を解決したり決定することができる 8)個人としての自己をエンパワメントしたり解放することができる |
リフレクションはこれだけたくさん得るものがあります。
つまり、状況を判断し、看護実践し、実践を繰り返すことによって、次の看護を行い、患者のもつ本質的な問題に届く実践を行うことができる看護師へと成長します。
忙しいい現場を切り盛りする看護師は看護実践の意味について考える余裕はほぼないでしょう。
ですので、あえてサロンに取り入れました!後述しますが当サロンメンバーも沢山の気づきがありました。
看護をリフレクションするということ5)
「何もできなかった」
「これでよかったのだろうか」
このような想いを抱えながら看護師は日々看護を提供しています。しかし、本当にそうなのでしょうか。
日々実践している看護、何気ない看護は何もしていなかったように提供しています。
このように、何気なく「当たり前」もしくは意図的に提供した看護とみなされることのないようなことも含めて意味を考える。
一定の方法を用いて、それまで気づかなかった看護の意味や価値を見出すことで人としても看護師としても成長し続けることになるでしょう。
さらに、次の看護に繋げていく方法を身につけることになるのです。
直感や反射的に体が動いて看護をすることだけではできない思考の再現性は、プロとして不可欠なものだと私は考えます。その思考の再現性を獲得することになるのです。
〜看護師は豊かな看護師経験を持っているので経験から学ぶ方法を知ることによって、やりがいや自信につながり、しいては看護の信念の育成につながる〜
東はこのように述べています。
<引用参考文献>
1)ドナルド•A•ショーン:省察的実践とは何かープロフェッショナルの行為と思考.柳沢昌一・三輪健二監訳,鳳書房,p.v,2007.
2)田村由美,津田紀子:リフレクションとは何かーその基本滝概念と看護・看護研究における意義,看護研究,41(3),171-181,2008.
3)前掲2)
4)東めぐみ:看護リフレクション入門 経験から学び新たな看護を創造する.ライフサポート社,2010
5)前掲4)
実際にリフレクションしてみました
リフレクションした事例の一部を紹介
A氏:70代 男性 妻と二人暮らし(仲良し❤︎)
現役で仕事をしていて、安全靴を着用。年齢的なこともあって、仕事は休みたくないというのが強い希望でした。
もともと腰痛があって某整形外科クリニックに通院中。
巻き爪の痛みを訴えケアを希望されてきました(外来受診)。右母趾内側が陥入爪で滲出液も多め。
抜爪も検討しましたがご本人の希望で他の方法での治癒を目指すことになりました。
タコや魚の目ナシ、目立った既往もナシ。爪切りは自分で実施。
身長体重共にかなり大きな方です(BMI不明)。
フットケア実践看護師とは以前から面識があって、関係性は良好。
●問題(関わったNSご本人が当初感じたもの)
・爪の角が深く切られていて、全体的に深爪
・几帳面で創部を洗いすぎている
・足趾でグーチョキパーができない(趾を動かせない)
●目標:早く傷を直す
●実施した看護
・セルフケア支援;洗い方・保湿指導、安全靴を考慮した日常の創部のケア方法と保護方法指導、テーピング療法
・励まし「Aさんならできる!」
・NS自身がフットケア を学んでいることの自己開示
・医師とのカンファレンスを本人の前で実施
・靴の確認、インソールの調整
*経過としては陥入爪が改善してくると、どこかにぶつけて再び悪化することが繰り返され完治まで4ヶ月ほど要したそうです。
ポイント
▶︎関わっている途中で問題の認識と必要な看護を修正し
「傷を治すこと」⇨「どうしたら陥入爪が再発しないように日常生活を送れるか」と変化。
●看護の修正点は
①看護師のアセスメントの内容を伝える。看護師が何を見てどう考えたか。
②提案したケア方法と期待される効果、提案した理由を伝えた。
③ケアに選択肢があるときはAさんと相談して一緒に決めた。
④Aさんの言葉の意味を正しくとらえるように確認し、再指導するようにした。例えば「ちゃんと洗っている」どう洗っているのが見せてもらったり話してもらったりした。
●結果
・抜爪しないで陥入爪の傷が完治し、再発していないこと
・某クリニック受診中断にならずに完治まで通院し続けることができた
・仕事を休むことなく継続出勤できた
事例を通してご本人の気づき
自分(関わった看護師)は患者さんを元気付けたいそう思っていたことに気づいた。元気になると明るい気持ちにもなって、治療の継続や免疫力向上、治そうという気持ちが強くなることを期待していたのかもしれない。
患者さんの「ちゃんと」は丁寧に確認したほうがいい。「ちゃんと」が各人ごとに違うことに気づいた。多分、「確認すること」は、フットケアだけでなく他でも大切なこと。言葉って大事。
自分がフットケア を勉強していることを伝えたことが、Aさんの「安心」に繋がったように感じる。その理由として「ちゃんとしたケアをしてもらえる」そう期待を高めたのかもしれない。
陥入爪だからといって「薬」が一番ではない。
看護師との時間が設けられたことで(ケア)、Aさんがご自分で実施していたことの評価を一緒に行えるようになった。例えば、「このやり方であっていた」「もうちょっと、こうしたら良かったのかも」などはAさんにとって日常のセルフケアのワンクッションになって安心を高めたのかもしれない。
やっぱり、保清・保湿・保護の基本が大事ですね。
この事例を通して仲間からのフィードバック
途中で目標や関わりの修正を柔軟にされた点が素晴らしい。足の患部に目が向いていましたが、修正を期にAさんと向き合っていることが感じられます。Aさんは、その変化を間違いなく感じ取っていたはずです。良い結果につながったことが嬉しいなと感じます。
継続受診の背景に、Aさんの目の前でのカンファレンスが「信頼している医師が認めているケア」と認識できる環境は患者にとって大きな「安心」の一つとしての意味があったのではないでしょうか。
Aさんと看護師、医師が同じ目標に向かって一緒に歩んでいる様子が伺えます。看護師の変化がAさんの「自分ごと」を皆が一生懸命に関わってくれる姿からエンパワーメントしていたと思います。
「Aさんならできる」励ましは自己効力感を高める4要素の一つです。自分も頑張れる、頑張ろう。その気持ちがセルフケアの質を高め継続に至ったかもしれません。
「ぶつけてしまう」ならば、ぶつけなくて済むように環境整備すればよいことかもしれません。ただ、それが職場などだとすぐに変化できないことがあります。しかし、皆さんがご本人の意向を大切にして「抜爪」以外の方法を考え一緒に取り組んだ姿が、「環境」は変化しなくてもAさんの意識が変わり、結果的に「足をぶつける」ことの減少にまで成果をもたらしたように感じます。Aさんも皆さんもお疲れ様でした。期間が長引くと感染リスクも高くなります。また、「慣れ」から危機感も低下しやすくなる危険性もあります。状態やご本人の意識にもよるでしょうが、ご負担を考慮に入れて温存療法の評価期間をあらかじめ決めておかれると、予め患者さんも伝えられて心づもりになるかもしれないですね。
🦶フィードバックを受けて、関わった看護師さんのご感想🦶
やっぱり、振り返るって大事ですね〜。
その時に気づかなかったことに気づける。こういうふうに、他の人の視点も聞けると参考になってよかったです。今思うと、もっとこうしておけば良かったとかありますが、今後に活かしていこうと思いました。
毎回参加して、変化していることを感じます。ありがとうございました。
まとめ
リフレクション
聴き慣れず抵抗感を感じた方もいるかもしれません。
自分の看護をリフレクションすることで、ご自身が大切にしている看護の軸を改めて気づくこともあるでしょう。うまくいかなかった事例、うまくいった事例それぞれを俯瞰して意味を考えられるといいですね。一人でしかできないこともありますが、いろいろな方の意見を聞くことも捉え方が広がることでしょう。
看護における自分の軸・価値観は相手に伝わるように表現できますか?
もし、◯×△・・・となったとしたら、「わかっているつもり」かもしれません。
日常の看護において「やりがい」を感じ、疲弊しないためにも「軸」「価値観」を意識化していくことをおすすめします。
今回ご提示いただいた事例では、関わった看護師の視点が途中で大きく変化していました。
その変化が、Aさんの「セルフケア」の質、意識にまで波及しているように感じます。
忙しく立ち止まる時間が持てない。だからこそ貴重な体験を根拠のある自信につなげていきたい。そう願いながら開催しました。
今日という日が最高の1日でありますように
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
このブログでは、皆様にお役に立てる内容と日頃の活動から感じたことなどを中心として看護師ちーさんが情報発信しています。
日常のケアにおかれまして、ヒントになることがありましたら幸いです。皆様のお気持ちが患者様(利用者様)に届きますように!!!
コメントやご感想などもお待ちしております❤︎