様々な特徴から今回はこの2点に着目して解説します。
❶アウトソール:踵・爪先
❷足の甲のベルト(紐)の有無
他に、靴選びの要素には、軽さや柔らかさ、素材、費用・・・等、あります。
今回、この2点に絞った理由として、
転倒という視点で考えた時、極端に重い高齢者向けの靴は少ないこと、さらに重要なのに意識されていない重要要素を優先して選びました。
*足やお身体は皆さんことなります。お一人お一人の状態によって「良い靴」も変わりますのでご案内が全てでは無いことをご周知くださいますようお願い申し上げます。
すり足小股傾向の高齢者(以下、すり足高齢者)の多くは足を上げずに歩きます。筋力が低下するため、爪先を上げられないのです。したがって、踵着地はほぼしません。足の裏全体で着地します。
一方、
バリバリ活動している高齢者(以下、アクティブ高齢者)は、加齢に伴う変化はありますが歩幅、踵着地、姿勢が保持されています。
すり足高齢者とアクティブ高齢者を分けて考えていきたいと思います。
❶アウトソール:踵・爪先
靴の外側の底(アウトソール)に着目しましょう。靴全体で、重要なMP関節部のみで曲がることは、改めて記述していませんが必要不可欠な必須項目です。
アウトソールでは、爪先や踵部分が地面に対して平行か反っているかがポイントです!
例えば、
すり足高齢者の靴のつま先部分が地面と並行に完全についていると、すり足高齢者はつまずきやすくなります。つま先がわずに反り上がった靴を選びましょう。また、踵が地面と完全にくっついた反りのない靴は安定します。踵が反り上っている靴はすり足高齢者にとっては不安定感になりますので避けた方がよいです。
アクティブ高齢者は、踵も爪先も軽く反っている靴が歩行をスムーズにサポートしてくれます。踵部が反り上っている靴は踵から着地するアクティブ高齢者に向いていますがすり足高齢者には不向きです。
すり足高齢者は爪先だけ軽く反っていて靴の底がクッション性を保ちながらも平らな靴がそれぞれの歩行をより良い形でサポートしてくれます。
❷足の甲のベルト(紐)の有無
高齢者は、靴の着脱が簡単なものがいいでしょう。前屈みになることが困難だったり、指先が思うように使えなかったりで、靴の着脱を億劫に感じやすいためです。
それだけで終わればいいのですが、行動のブレーキ要素となってしまいかねません。具体的には、「靴を履くのが面倒だから出かけるのやめようかな」という連鎖によるブレーキです。
そのため、比較的容易に着脱できるものがよいです。
だからといって足首がきちんと留まらない状態では転倒予防にはなりません。マジックテープや紐、ファスナーなどで甲の部分の高さを調整できて足首をきちんと留められる必要があります。
すり足高齢者は、他者の介助も念頭において、履き口が広く開く靴を勧めします。広く開いた靴に足を入れられることで、互いにストレスが少なく済みます。
アクティブ高齢者は、脱ぐ時に自分で甲を緩め、履く時に毎回締め直すことができるような教育と靴の提案が重要です。
蛇足ですが、玄関に椅子を準備して座って靴を着脱できる環境を整えることも大切ですので併せて検討していただきたい点です。