こんにちは。
Abebyのちーさんです。
お読みいただきありがとうございます。
高齢者の転倒を何とか予防できないものかと悩んでる皆様。これまで、靴に着目されたことはありますか?もし、『NO』あであれば、この内容は新しい視点になること間違い無いです。
病院や福祉施設、訪問看護で携わっている方々は、様々な対策をこうじて来られたことと思います。足や靴からの「転倒予防」はまだ知らない方が多いです。今回大切な靴のポイントを絞って、すぐに活かせる内容を具体的にご紹介します。
最後までお読みいただき、生活や現場で活かして頂けたら嬉しいです。
このページの目次
1. 高齢者の靴の特徴を理解しているかどうかが歩行の安定、転倒を左右する
2. 高齢者の身体的特徴・歩行の特徴
2.1. 高齢者の身体的特徴
2.1.1 フレイル
2.1.2 足
2.2.歩行の特徴
2.2.1 正常な歩行
2.1.2 高齢者の歩行の特徴
3. 靴の特徴
4.まとめ
高齢者の靴の特徴を理解しているかどうかが歩行の安定、転倒を左右する
靴が転倒の誘引になります。女性の寝たきりになる原因第2位は『転倒』です。このようなデータからも元気にご自分らしく歳を重ねるためにも転倒は避けたいところです。
実は本来「靴」は履いている人の歩行を助ける機能をもっています。
高齢者と一言で言っても、スポーツに参加したりウォーキングなどを積極的に行っている方、ご自身の身の周りのことを中心の方、介護を必要とする方と活動レベルは様々。じつは、靴もそれぞれの状態に適応したものを製造・販売されているのです。
購入者の私たちがその特徴を知ることで、靴の選択から1人ひとりにあう一貫したサービスを提供することが可能になります。
転倒予防の優先順位が高い方には、安定感を高める靴をお選びいただくことで対策につながる!転倒リスクの高い方と自らウォーキングができる方は同じ靴ではないのです。
私たちが高齢者の特徴、靴の特性を理解しているかどうかが歩行の安定、転倒を予防できるかどうかを左右し得る重要な視点です。
高齢者の身体的特徴・歩行の特徴
高齢者の身体的特徴
図:平成30年厚生労働省
◉フレイル
高齢者の避けたい状態の代表としてフレイルがあります。
「フレイル」とは、『フレイル診療ガイド 2018 年版』(日本老年医学会/国立長寿医療研究センター、2018)によると「加齢齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態」を表す“frailty”の日本語訳として日本老年医学会が提唱した用語です。
フレイルは、「要介護状態に至る前段階として位置づけられるが、身体的脆弱性のみならず精神心理的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味する。」と定義されています。
また「フレイル」の前段階にあたる早期の段階からの介入・支援を実施することの重要性も訴えられています。理由として、家族や医療者が早く気付き対応することができれば、フレイルの状態から健常に近い状態へ改善する可能性があるからです。
しかし、フレイルの状態になっていると風邪をこじらせて肺炎を発症したり、怠さのために転倒して打撲や骨折をする可能性があります。また、入院すると環境の変化に対応できずに、一時的に自分がどこにいるのかわからなくなったり、自分の感情をコントロールできなくなることもあります。転倒による打撲や骨折、病気による入院をきっかけにフレイルから寝たきりになってしまうことがあります。
このように加齢に伴い、身体的・精神的に健康障害を招きやすい状態の方がいることを覚えておくことが重要です。
*健康長寿ネット:https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/about.htmlより一部抜粋
◉足
足部(足首から末端)も体の変化とともに変化が生じます。歩行に影響がある身体的変化を以下にピックアップしました。
ー筋力の低下(趾間力含む)
ー足趾変形の発症、進行
ー踵や足部全体の脂肪層・筋肉量の減少
ー関節の柔軟性の低下
ーバランス調整能力の低下
ー瞬発的反応の低下
ー皮膚の感受性低下(感覚の鈍麻)
歩行の特徴
正常な歩行
正しく歩くために、まず正しく立ちます。正しい立ち方を一緒にやってみましょう。
顔は前を向きていますか
骨盤と胸郭が水平になってますか?例)胸郭が上向きは反り腰、下向きは猫背
肛門をきゅっと閉めていますか
踵・親趾・小趾が地面に降りていますか?
一人で確認しにくい場合は誰かと確認し合ったり、写真を撮って見ることも有効です。
さて、次は歩行です。(先の図を参考にしながら)
ー踵から着地
ー体重が乗るとともに小趾の付け根、親趾の付け根から
ー母趾(足の親指)でしっかり蹴りだす
これだけで自然と背筋が伸び、膝が伸び、疲れない歩きが実現します。
普段の姿勢、歩き方に気をつけることで、正しい連動した動き健康的な体を作り出します。
高齢者の歩行の特徴
・歩幅が小さく、すり足
・体(体幹)が左右に揺れる
・腕の振りが小さい
・一歩が小さい(チョコチョコ歩き)
・前かがみ姿勢
体を支える筋力の低下、身体的機能の低下によって高齢者は転倒しやすい状態です。
しかし、ご本人は「足が上がっている」「足が前に出ている」と思っています。自尊心を傷つけないサポートが求められます。
靴の特徴
様々な特徴から今回はこの2点に着目して解説します。
❶アウトソール:踵・爪先
❷足の甲のベルト(紐)の有無
他に、靴選びの要素には、軽さや柔らかさ、素材、費用・・・等、あります。
今回、この2点に絞った理由として、
転倒という視点で考えた時、極端に重い高齢者向けの靴は少ないこと、さらに重要なのに意識されていない重要要素を優先して選びました。
*足やお身体は皆さんことなります。お一人お一人の状態によって「良い靴」も変わりますのでご案内が全てでは無いことをご周知くださいますようお願い申し上げます。
すり足小股傾向の高齢者(以下、すり足高齢者)の多くは足を上げずに歩きます。筋力が低下するため、爪先を上げられないのです。したがって、踵着地はほぼしません。足の裏全体で着地します。
一方、
バリバリ活動している高齢者(以下、アクティブ高齢者)は、加齢に伴う変化はありますが歩幅、踵着地、姿勢が保持されています。
すり足高齢者とアクティブ高齢者を分けて考えていきたいと思います。
❶アウトソール:踵・爪先
靴の外側の底(アウトソール)に着目しましょう。靴全体で、重要なMP関節部のみで曲がることは、改めて記述していませんが必要不可欠な必須項目です。
アウトソールでは、爪先や踵部分が地面に対して平行か反っているかがポイントです!
例えば、
すり足高齢者の靴のつま先部分が地面と並行に完全についていると、すり足高齢者はつまずきやすくなります。つま先がわずに反り上がった靴を選びましょう。また、踵が地面と完全にくっついた反りのない靴は安定します。踵が反り上っている靴はすり足高齢者にとっては不安定感になりますので避けた方がよいです。
アクティブ高齢者は、踵も爪先も軽く反っている靴が歩行をスムーズにサポートしてくれます。踵部が反り上っている靴は踵から着地するアクティブ高齢者に向いていますがすり足高齢者には不向きです。
すり足高齢者は爪先だけ軽く反っていて靴の底がクッション性を保ちながらも平らな靴がそれぞれの歩行をより良い形でサポートしてくれます。
❷足の甲のベルト(紐)の有無
高齢者は、靴の着脱が簡単なものがいいでしょう。前屈みになることが困難だったり、指先が思うように使えなかったりで、靴の着脱を億劫に感じやすいためです。
それだけで終わればいいのですが、行動のブレーキ要素となってしまいかねません。具体的には、「靴を履くのが面倒だから出かけるのやめようかな」という連鎖によるブレーキです。
そのため、比較的容易に着脱できるものがよいです。
だからといって足首がきちんと留まらない状態では転倒予防にはなりません。マジックテープや紐、ファスナーなどで甲の部分の高さを調整できて足首をきちんと留められる必要があります。
すり足高齢者は、他者の介助も念頭において、履き口が広く開く靴を勧めします。広く開いた靴に足を入れられることで、互いにストレスが少なく済みます。
アクティブ高齢者は、脱ぐ時に自分で甲を緩め、履く時に毎回締め直すことができるような教育と靴の提案が重要です。
蛇足ですが、玄関に椅子を準備して座って靴を着脱できる環境を整えることも大切ですので併せて検討していただきたい点です。
まとめ
高齢者向けの靴はたくさん販売されています。
それぞれの特徴は、なかなかわりにくいものです。機会があれば、試着して歩行の感覚を試してみるのも良いかもしれません。
繰り返しになりますが高齢者は足部の脂肪や筋肉量が減少します。幅が広い靴が合う方もいますが靴は大は小を兼ねません!幅が広すぎたり、踵周囲が大きすぎる靴はサイズが合っていても脱げやすいので大変危険です。ご注意ください!
適切な靴を選び履くことで、転倒の低減、自分らしくいきることの一助となれれば幸いです。
今日という日が最高の1日でありますように
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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